明石高専の学生さんとディスカッションをしました

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2021年4月2日、独立行政法人国立高等専門学校機構 明石工業高等専門学校(以下明石高専)の学生さんと教師の3名が、㈱泰慶・㈱泉北ニシイ兵庫工場を見学し、神戸ブロックの技術者とディスカッションを行いました。

見学会及びディスカッションは、新型コロナウイルス感染予防対策を十分に講じた上で行いました。

きっかけは高専機構主催のディープラーニングコンテスト(大会HP:https://dcon.ai/2021/)に出場を検討している明石高専の2年生の学生さんが、生コン工場の課題について取り上げ、「生コン工場で困っていることをAI(人工知能)で改善したい」というお声を大阪兵庫生コンクリート工業組合に頂き、大阪広域が対応するかたちで今回の見学会が実現しました。

学生さんたちは、座学では配合設計やフレッシュコンクリートの物性などを学習していましたが、実物を見たり触れたりしたのは初めてという正にフレッシュな状態からのスタートでした。

まず初めに泰慶社を訪れ、大阪広域技術部 船尾より生コンクリートの基礎及び生コン工場の概要に関する講義を受けた後、泰慶社の山田工場長より工場の設備、プラント内の設備、試験室、操作盤の説明を受けながら見学をしました。

その後泉北ニシイ兵庫工場へ移動し、藤野技術課長による案内のもと、工場の廃水設備、プラント内の設備、さらには骨材サイロの頂上まで登り、上からサイロの内部を覗き込みました。

最後に、操作盤および試験室を見学し、生コンクリートの基本的な知識とプラントの仕組みを理解して頂きました。

 

 

見学を終えた後大阪広域の神戸事務所へ場所を移し、リモートも併用しながら神戸ブロックの技術者と、「生コンクリート業界におけるAIの活用」についてのディスカッションが行われました。

まず学生さんから問題定義された、「圧縮強度の合否判定まで28日も要するのは時間が掛かり過ぎでは?」という内容について、神戸ブロックの技術者からは、7日強度による予測式を用いて28日強度を推定する方法や、養生温度を上げ早期に判定する高温養生について説明がありました。また、日本産業規格の説明も合わせて行われました。それらを踏まえ、必要なデータを集約し、正確な強度がAIによって算出可能かを議論しました。

技術者より、「各工場の使用材料や状態、気温、湿度など、必要なデータは膨大になるが、AIにより製造時に正確な強度が算出可能になれば生コン工場はもちろんユーザー様にもより安心を提供できるので積極的に研究して欲しい」と、発言もありました。

他にも、「施工現場において、AIによる正確な生コンの使用量を算出することによって、戻りコンクリートの削減はできないか?」

「画像解析によって骨材試験の簡素化は可能か?」

など、半製品であるが故の難しさを踏まえながら、現状の説明とAIで改善可能な点などを議論しました。

実現性が高いものとしては、操作盤のミキサの電流抵抗値やカメラの画像を用いたスランプ推定が話題にあがりました。

すでに取り組んでいるメーカーもありますが、配合や練混ぜ量によって変わる電流抵抗値と実測スランプ測定値のデータ及び画像解析によるデータをAIに学習させ、現在オペレーターの技量に頼っている目視スランプを容易に行えるようになれば現場は大変便利であると提案しました。

現在は、最終的に人が判断する事柄が多く、個人のスキルや経験が品質を左右することが多いので、そこをAIでカバーできれば、人手不足の解消、若手の技術・知識・経験値の補助が可能となり、製品の品質向上につながります。

また、AIは受注の割当や出荷の平準化、輸送ルートの選定など、生コン業界において多岐に渡り活用できる余地もあります。

そして、AIの活躍が日本産業規格を変える日がくるのではないかと期待する声も上がりました。

 

今後、実用化したハードの作成を念頭に置き、サンプルとしてデータを取る場合はどこの工場で、どういうデータをどの範囲で、どの期間で・・・と具体的な話もあり、参加した技術者から積極的に協力していく旨を伝えました。

他にもICチップを使用した誤納防止など、話は尽きませんでしたが、時間の制限もあったため、記念撮影を行いこの日の見学会は終了しました。

 

今回の工場見学およびディスカッションを終えて、学生さんからは

「座学だけではわからないことがたくさんあった」

「生コンクリートはゼネコンさんが作っていると思っていた」

「見学・ディスカッションに対応して下さった皆さんがすごく協力的でありがたかった」という感想を頂きました。

生コンクリート業界は、例えば試験方法一つとっても従前的なやり方を採用し続けており、最新のデジタル技術とは疎遠の状態でした。

今回、明石高専の学生さんたちが生コンクリート業界に着目してくれたことは、とても喜ばしく、若い感性と知識とアイデアが生コンクリート業界に新しい風を吹き込んでくれることに大いに期待しています。

また、若い意欲的な学生さんと話が出来たことは、我々業界で働くものにとっても新鮮な刺激となり、日々の仕事の活力につながる良い機会となりました。

 

 

今までも自治体の職員さんや教育機関の学生さんを対象とした工場見学は定期的に行って来ましたが、今回のような、業務の内部まで踏み込んだ見学会は初めてであり、また、双方にとってとても有意義なものであったと感じます。

今後も、今回のような見学会を積極的に広めていき、将来生コンクリート業界に関係する職につく若者が増えるよう、魅力的な業界となり、社会にアピールしていく必要性を感じました。

そして、一般の方にも、生活と生コンクリートが密接に関係している (家の基礎、マンション、学校、商業施設、道路、防災など)ことを知って頂き、もっと関心を持ってもらえるよう、我々も責任感を持って生コンクリートを供給して行かなければならないと改めて意識する機会となりました。

 

 

© The ready- mixed concrete cooperative of Greater Osaka.
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