2019年9月29日、京都大学iPS細胞研究基金講演会〜2030再生医療普及のために〜 に参加させて頂きました。
大阪広域では、iPS細胞を利用した新しい薬の開発や再生医療の発展より、病気で苦しむ人が1人でも助かる様、iPS細胞研究所CiRA(サイラ)の活動に賛同し、京都大学iPS細胞研究基金を通じて長年に渡り寄付をさせて頂いています。
この度、京都大学iPS細胞研究基金講演会のご案内を頂き、再生医療の最先端をめぐる現状とこれからの課題・活動についてのお話を聞かせて頂きました。
第一部は、iPS細胞研究所CiRA所長・教授 山中 伸弥氏による開会の挨拶から始まりました。
現在世界で注目を集めているラグビーワールドカップに関連して、「40代でできた親友」で有名なミスターラグビーこと、元ラグビー日本代表の故 平尾 誠二さんとのエピソードも交えながら、iPS細胞によってこれからの医療がどのように躍進していくのか、そして、どのような病気の症状や患者に効果があるのか、専門家ではない我々一般の参加者にもわかりやすく説明して下さいました。
続いて、iPS細胞研究所CiRA副所長・教授 高須 直子氏のお話がありました。
高須教授は、山中教授の「iPS細胞を作る」という強い意志に感銘を受け製薬会社を退職し、研究所へ来られました。
知的財産(特許)に携わりながら、2011年に始動した『ストックプロジェクト』では業務を統括されています。
ストックプロジェクトとは、再生医療に広く使えるように、医療用iPS細胞を予め作製・保存に取組むプロジェクトです。
免疫拒絶反応が起きにくい組み合わせのヒト白血球型抗原であるHLA型を持つ健康なボランティア(スーパードナー)から提供された細胞を使用し、医療用のiPS細胞(現在日本人の4割に対応可能)の作製、実用に向けて取組んでいます。
また、お話の中で、iPS細胞の特許申請は『独占するためではなく、独占させないため』であり、iPS細胞は安価で広めていきたいという言葉が強く印象に残りました。
第二部では、山中教授・高須教授・カンテレ村西アナウンサーの3名によるトークセッションが行われました。
トークの内容は、山中教授と高須教授の出会い、iPS細胞研究の日常など、様々な話題が上がり、どれも興味深いものでした。
特に、ストックプロジェクトに触れたお話の中で、現段階の『スーパードナー』から『ゲノム編集』(遺伝子を操作する事で、スーパードナーでは対応できない残り6割の人々に対応)を目指し、最終的には『MyiPS細胞』(自分の細胞からiPS細胞を創り出し、安価に提供出来る技術)の確立を構想されているという話を聞き、実現できればどれだけの人が救われるだろうという期待に、胸が高鳴りました。
また、研究所の現状として、研究所職員の雇用環境の不安定さにも触れ、iPS細胞研究基金を、①教職員の安定雇用、②研究環境改善、③若手研究者の教育、に充てていきたいと力説されており、日本における先進医療研究の置かれている厳しい現状を改めて痛感し、継続的な寄付の重要性を再認識する機会となりました。