技術報告会 2012

当協同組合は、7月30日に日本建築学会近畿支部共催による、「技術報告会2012」をリバーサイドホテルにて開催し、約200名の出席を得ることができた。

 

1題目として「暑中コンクリートの実験研究等に関する報告」を行った。

①硬化および耐久性に関する実験結果報告(栗延正成 協組技術部)

②土木用配合に関する実機実験結果報告(赤崎晋也 当協組技術部)

③暑中コンクリート検討委員会「マニュアル作成小委員会」について(中村成春 大阪工業大学准教授)

④暑中における高強度コンクリートの受入れ時温度とS値の関係について(岩清水隆 ㈱竹中工務店)

本議題は、JASS5-2009建築工事標準仕様書13節「暑中コンクリート工事」に”荷卸し時のコンクリート温度は35℃以下を原則とし、やむを得ず35℃を超える状況となる場合には事前に対策を検討し、コンクリートの品質低下を防止するための適切な措置を講じること”と記述されたことへの対策として、2009年から暑中期におけるコンクリート打設の為のマニュアル作成を目的とした実験、検討を進め、来年5月の完成を目標に作業を進めている一連の作業の内、前年度に実施した活動の一部を報告したものである。

 

2題目として「スラッジ水の使用に関する報告」を行った。

①標準化後の日常管理と今後の展望(豊永晃次 新大阪生コンクリート㈱)

2009年3月のJIS A 5308改正により、部分的ではあるが、スラッジ水が購入者との協議なく使用可能となったことを受け当協組が標準化を推進している中で、より積極的に取り組む新大阪生コンクリート㈱社の事例報告である。

また、JIS A 5308-2009(追補)では、環境配慮の観点から、特定のリサイクル材料を使用した場合、「環境マーク(メビウスループマーク)」を表示することができるとされた。

スラッジ水は、リサイクル材料に含まれるため、新大阪生コンクリート㈱社も、環境マークの表示を標準化しているが、表示にあたってはユーザーの理解が最大の課題となっている。なお、当協組は全工場における環境マークの表示に向け取り組んでいる。

 

3題目として、「フライアッシュ使用コンクリートに関する報告」を行った。

①実施工におけるフレッシュコンクリートの品質管理結果(緒方満成 ㈱関西宇部吹田工場)

②実施工における硬化コンクリートの品質管理結果(新井敬治 伊丹コンクリート工業㈱)

③フライアッシュ使用コンクリートの強度および耐久性について(山﨑順二 ㈱淺沼組)

④「フライアッシュ検討委員会」について(山﨑順二 ㈱淺沼組)

内容としては、フライアッシュを混入することにより、混入前と同等あるいは、より優位性のある報告となっている。

「フライアッシュ検討委員会」は、㈱関電パワーテックと当協組が日本建築学会近畿支部 材料施工部会に委託し発足した委員会であり、委員長に大野義照大阪大学名誉教授を迎え、フライアッシュを使用したコンクリートの特性について、多方向からの検討を進めている。

また、成果については26年度に報告会を開催し公表する予定である。

 

4題目として「全国統一品質管理監査制度について」

藤本泰久全国生コンクリート工業組合連合会技術委員長より報告がなされ、内容は監査制度の目的と仕組みに始まり、監査項目の内容まで、細部に亘るものであった。

なお、議題としては取り上げていないが、当協組 早野技術委員長より、昨年11月に需要家を対象として実施したアンケートのお礼と、その結果を基に独自の監査を実施している旨の報告がなされた。

最後に大野義照大阪大学名誉教授より、パワーポイントを用いて以下の講評を頂いた。

 

1.暑中コンクリートの実験研究等に関する報告

・硬化及び耐久性に関する実験結果報告
練上り温度が38℃程度のコンクリートの性状は33℃の場合に比較して差異はなかった。

・土木用配合に関する実機実験結果報告
工場発の目標値を適正に設定。AE減水剤の遅延形の適正量の使用。

・暑中コンクリート検討委員会「マニュアル作成小委員会」
2013年5月完成目標 実務に有益な技術資料となる暑中コンクリート対策

・暑中における高強度コンクリートの受け入れ時温度とS値の関係について
打込み時初期コンクリート温度が41℃までであれば、コンクリート温度が高強度コンクリートのS値に及ぼす影響は小さい。生コン車の待機による温度上昇4℃を考慮すれば、41-4=37℃まで大丈夫。精度よい温度測定。

 

2.スラッジ水の使用に関する報告

・標準化後の日常管理と今後の展望
固形分率3%以下の広範囲に使用できるよう検討する。将来は5%程度まで標準化。管理幅の緩和、環境マークを表示してユーザーの理解を得る。

 

3.フライアッシュ使用コンクリートに関する研究 品質改善、地球環境問題の改善

・実施工におけるフライアッシュコンクリートの品質管理結果
必要な設備と製造技術があれば、一般コンクリートと同様に管理ができる。

・実施工における硬化コンクリートの品質管理結果
FA置換したコンクリートは通常製造している一般コンクリートと同等の製品として製造できる。

・フライアッシュ使用コンクリートの強度および耐久性について
フライアッシュⅡ種の混合使用のコンクリートは、無混入の場合と概ね同等以上である。ただし、セメント置換の場合は中性化に配慮(水セメント比、かぶり厚さ)する。

・「フライアッシュ検討委員会」について
2012年5月~
フライアッシュの品質変動、水和発熱特性、初期・長期の強度発現性状、中性化抵抗性、長さ変化率

以上

© The ready- mixed concrete cooperative of Greater Osaka.
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