大阪広域生コンクリート協同組合は「4つの行動理念、三方良し+α、善悪の判断」を推し進め健全な組合運営を行っています。
その結果、組合員工場においては近年安定的な利益の享受がもたらされ、その恩恵が従業員の待遇改善や、老朽化した工場設備の更新という形として現れています。
持続可能な経営には「人材育成・設備投資・利益確保」の充実が不可欠です。
今回の特集では、「設備投資」にあたる工場のS&B※の事例を、数回に分けて紹介していきます。
※SB:スクラップアンドビルド(scrap and build)
老朽化・陳腐化が進み、物理的または機能的に古くなった設備を廃棄し、高能率の新鋭設備に置き換えること。
1.㈱稲田巳建材 水走工場
〒578-0921
東大阪市水走3-3-33
TEL:072-984-0227
FAX:072-985-0718
設立年月日:1966年1月
前プラントの稼働年数:約25年
SB期間:約2年
更新した箇所:事務所、試験室、ミキサー、骨材ヤード、洗浄設備等
ミキサの型式・容量:MEBIUS 3300L(光洋機械産業)
貯蔵瓶:15機
計量器:11機
大規模なSBで工場の能力を底上げ
以前の設備は、25年間少しずつメンテナンスしながら稼働していたが、修繕費がかさむことや、将来を見据えて高品質の生コンクリートを安定供給する体制を整えたいという思いがあり、新しい設備の大規模な入れ替えは長年検討していた。そんな折、良いご縁があり、移転先が見つかったので今回の大規模なS&Bに踏み切った。
限られた敷地面積での設計にこだわり
光洋機械産業(株)のご担当者とともに、光洋機械産業製のプラント設備を全国50箇所ほど2年掛けてじっくりと見て回り、各設備の配置を綿密に設計した。その結果、コンパクトな工場だが、非常にスムーズな動線の確保が実現した。
以前は車の入口と出口が同じで渋滞が起きていたため、スムーズに生コンを練ってもこの渋滞が原因で出荷が滞ることが悩みだったが、更新した工場ではこの問題が解消され、ミキサー車、ダンプ、バラ車など各車両の作業効率が格段にあがった。
自社の生コンクリートでSBを
今回は、前の設備を稼働させながら新しい場所にS&Bをしたので、新設備に使用する生コンクリートは前の設備で練ったものを使用した。
冷却チラー
導入したことで練混ぜ水の温度を約5℃下げることが可能となった。
ひび割れやクラック防止のために膨張剤プラスαの膨張率を下げる手段として重宝している。夜間に冷却された練混ぜ水は、翌日の出荷に充当できるようになった。
環境に配慮した粉塵・騒音・振動対策
住宅街が隣接していない地域を移転先として選択、振動・騒音のレベルも役所の基準値内でクリアした。
気に入っているところ
「これからはマットブラックやで!!」と娘と息子が選んでくれたマットブラックの塗装が社長の一押しポイント。
セメントサイロがシルバーなので、他の工場にはないカラーリングを目指しました。夜間は「Inada Mi」の文字が光り、一層目を引きます。
遮熱塗料を使用し、プラント内に巨大クーラーも完備しているので暑さ対策も万全。
今回のS&Bでミキサをメビウスに更新して高強度コンクリートの出荷が可能となった。
将来を見越し、フライアッシュの貯蔵便や試験設備の準備は整え試験練も積極的に行っている。これから、若い試験担当者に新しい知識や技術をどんどん勉強して吸収し、挑戦していってほしい。
整った設備でユーザーに満足して頂ける品質の良い生コンクリートの製造実績を積み、ゼネコンや販売店、地域に愛される企業を目指したい。