暑中コンクリート実機試験見学会

  • 9.産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 12.つくる責任、つかう責任
  • 13.気候変動に具体的な対策を

2019年8月7日(水)

和歌山県の大弘平和共同プラント株式会社で行われた、(一社)日本建築学会近畿支部材料・施工部会主催の暑中生コンクリート実機試験見学会に参加しました。

 

 

試験実施場所に到着後、まずは和歌山県生コンクリート工業組合理事長 丸山氏から挨拶がありました。

和歌山県工組では、和歌山県の特色を活かしながら、変化し続ける環境やニーズに対応可能な次世代型の生コンクリートの製造に力を入れていきたいこと、そして我々が培った技術とノウハウを未来へ継承していきたいという意気込みが伝えられました。

続いて、和歌山県生コンクリート工業組合 技術委員長の上田氏より、環境配慮型コンクリートの暑中期間対策実機試験計画書の説明の後、試験が行われました。

 

 

 

暑中コンクリートとは暑中期(日平均気温が25℃を越えることが予想され る期間)に施工されるコンクリートの事です。

夏場の高温によってセメントの水和反応が活発になるため、生コンクリートの凝結が早くなり、運搬中の水分蒸発も増加する事でスランプの低下が大きくなります。

またコールドジョイントができやすく、急激な水分の蒸発などにより収縮ひび割れの発生率も高くなるなど、様々な問題がおこります。

そのため、「暑中コンクリート」としての施工マニュアルを作成し、暑中期間中の対策を講じています。

 

今回の試験の対象となった環境配慮型コンクリートは、主産物の製造過程から必然的に派生する副産物を生コンクリートの材料として利用したリサイクル材料を用いたコンクリートの事です。

コンクリートの主原料であるセメントは、炭酸カルシウム(石灰石)を1000℃以上の温度で焼成してつくられ、製造時に排出されるCO2は1tあたり750kgにも及ぶため、地球温暖化対策の面で課題となっています。

CO2排出を削減するには、セメントの使用量を減らすことが有効ですが、コンクリートに占めるセメントの配合率を下げ過ぎると、「中性化」による鉄筋の腐食など、建物の耐久性が下がるという懸念があり、環境配慮型コンクリリートの普及には乗り越えるべき問題が多数ありました。

 

しかし、技術者の研究と努力により様々な問題を解決、今や環境配慮型コンクリートは材料コストも強度も一般的なコンクリートと同等のレベルにまで進化しました。

 

今回はフライアッシュ、銅スラグ、高炉スラグに着目して、その特性を活かした環境配慮型コンクリートの暑中期の施工におけるフレッシュ性状の変化を測定・考察しました。

30℃を超える外気温の中行われた今回の実験では、有意義な結果を得ることが出来ました。

 

 

 

 

 

参加者の方からは、「フライアッシュの混合により、フレッシュコンクリートの性状、特に流動性および凝結遅延性が改善されるように感じた。

環境配慮コンとしての位置づけであるが、コールドジョイントの発生抑制など、暑中コン対策にも有効であるように感じた。」

 

また、別の方には、「残暑の中、複数配合の実機試験を整然と手際よく、そして円滑に進める多数の試験関係者の姿に感銘を受けました。

試験ではフライアッシュや銅スラグ骨材といったリサイクル材料を用いた暑中コンクリートのフレッシュ性状も一般的なコンクリートと大きな違いがないと感じ、同様の取扱が出来ることでリサイクル材料の有効活用が促進出来ると感じました。」と、感想を頂きました。

 

 

今回の試験を通じて、環境負荷低減や限りある資源を守っていくことの大切さを再認識しました。

大阪広域生コンクリート協同組合でも、大阪兵庫生コンクリート工業組合との技術協力を通して、地球環境に配慮した、再生利用しやすい生コンクリートの製造方法や、残コンリサイクルへの対策など、地球環境へ配慮した様々な取組を行っています。

 

我々の取り組みが、持続可能な未来の実現につながっていくことを願っています。

 

 

© The ready- mixed concrete cooperative of Greater Osaka.
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