マンションはもちろん戸建て住宅基礎にもコンクリートが使われています。また、お仕事の場であるオフィスビル、買い物やレジャーで訪れる複合商業施設などもコンクリートで造られています。そんな身近なコンクリートについて、分かりやすくご紹介しましょう。
コンクリートについて
身近にあるコンクリートですが、それを分かりやすく説明するのは簡単ではありません。そこで、大阪を代表する食べ物・お好み焼きに例えてお話ししましょう。なじみのお好み焼き屋さんに入ったつもりでご覧ください。
まず、セメントとコンクリートを同じ意味で使われているのをよく耳にしますが、セメントは粉で、お好み焼きでいえば小麦粉にあたり、水と混ぜると固まり始めます。材料の小麦粉がセメントで、お好み焼きがコンクリートと考えてください。
お好み焼きにはキャベツなどの具材が入っていますよね。コンクリートにも骨材(こつざい)と呼ばれる砂や石が入っており、これがキャベツにあたります。また、お好み焼きをおいしくするために出汁や山芋などを入れますが、コンクリートにも性能を高めるために混和剤(こんわざい)と呼ばれる材料を入れます。
みたいな感じになります。
お好み焼きはトッピングによって多彩なメニューがありますが、コンクリートも材料の組み合わせによってたくさんの種類をつくることができます。大きな建物にはとても強いコンクリートが必要ですが、小さな建物にはそれほどの強さは求められません。この強さを「呼び強度」という数値で表し、施主が注文します。
「呼び強度」についてはこちらをご覧ください。
次に、お好み焼きと同じく、コンクリートにも「混ぜる」という大切な工程があります。お好み焼きは注文したものをお店の人が適度に混ぜ合わせて焼いてくれます。コンクリートも、プラントと呼ばれる工場で、注文に合わせて各材料をコンピューター制御によって計量し、適切に混ぜ合わせます。その後、ミキサー車に積み込んで現場まで輸送します。
さて、おいしいお好み焼きをつくるためにとても大切な最後の工程は何でしょう? そうです、「焼き」です。いくら良い材料を使っても、焼き方がダメなら台無しになります。コンクリートでこれにあたる最後の大切な工程が「施工」と「養生」です。まず適切な施工方法によってコンクリートを打ち込みます。その後、乾燥や凍てつきなどの急激な変化がないように散水したり、シートで覆ったりしながら養生することによってとても良いコンクリートになります。この最後の工程が非常に大切で、建物の仕上がりに大きな影響を与えます。
お好み焼きに例えてコンクリートを説明しましたが、イメージはつかめましたか?
今度お好み焼きを食べる時、少しでもコンクリートのことを思い出していただけたらうれしいです。
「生コンクリートはどれも一緒」と思っていませんか?中低層マンションやタワーマンションに使われる生コンクリートは様々有り、強度・スランプ(生コンクリートの軟らかさ)・セメントの種類による組合せが、用途に応じて使い分けられています。
私たち生コン製造者は、施工業者からこの組合せ(配合)を指定され、JIS(日本工業規格)に則り、セメント・水・細骨材・粗骨材を配合毎に計量し、ミキサーで練り混ぜた後、直ぐにトラックアジテータ車(ミキサー車)に積込み、規定時間内に建設現場へ生コンクリートを供給しています。
コンクリートの強度はN/m㎡(ニュートン・パー・平方ミリメートル)で表します。例えば30N/m㎡は1平方ミリメートル当たり約3kgの重さに耐えられることを意味します。もう少し分かりやすく言い換えると、10cm角の柱で30トンの重さを支えられるということです。
建物の耐用年数は、日本建築学会が「建築工事標準仕様書」で下表の様に定めています。
計画供用期間の級 | おおよその期間(年) | 耐久設計基準強度 (N/m㎡) |
---|---|---|
短期 | 30 | 18 |
標準 | 65 | 24 |
長期 | 100 | 30 |
超長期 | 200 | 36 |
また、供用中も定期的に建物の調査・点検が実施され、補修が必要な場合は計画的に補修工事が実施されます。
当然のことながら、マンションが高層になるほど、下層階には強度の大きいコンクリートが使用され、上層階にいく程、必要な強度は小さくさります。設計基準強度が36 N/m㎡を超えるものを「高強度コンクリート」と呼び、最近のタワーマンションでは、100 N/m㎡以上もの超高強度コンクリートの使用実績があります。
私たちの品質へのこだわり「配合設計」をご覧ください。
戸建住宅の基礎には必ず生コンクリートが使用されています。その強度は住宅の寿命や地震による被害を左右する重要な役割を担っています。
基礎に使用されているコンクリートと耐用年数の関係は、上記の表で説明した通りです。戸建の場合、2階建て、3階建て、木造、鉄骨造、コンクリート造と様々な工法があり、構造計算により基礎コンクリートの強度が定まります。
マイホームを建てる時は、耐用年数や配合等の基本的な知識を頭の片隅においてもらうと役立つかもしれませんね。