特定非営利活動法人 神戸アイライト協会への訪問

  • 3.すべての人に健康と福祉を
  • 10.人の国の不平等をなくそう

特定非営利活動団体 神戸アイライト協会
https://eyelight.eek.jp/

今回ご寄付させて頂いたのは特定非営利活動団体 神戸アイライト協会です。

神戸アイライト協会は、視覚障害・ロービジョンの人(手帳をもっていない人、病院で治療中の人を含む)への相談およびサポートを行うことにより、視覚障害・ロービジョンの人の地域における社会的自立及び生活の質の向上を目指す活動を行っています。
また視覚障害にかかわる医療、福祉、教育、行政と連携し、ロービジョンや視覚障害者のサポートをすることによって、地域福祉の充実を目指しています。

目録の贈呈式は、神戸アイライト協会 和田事務局長の司会で始まりました。
初めに、今回寄付をするに至った経緯と、大阪広域生コンクリート協同組合の簡単な紹介をして下さいました。

続いて大阪広域 溝尾副理事長より、「我々は大阪府・兵庫県を活動エリアとして生コンクリートの販売事業を行い、その収益の一部を地域社会に還元するべく様々な社会貢献活動を行っており、今回、神戸アイライト協会さんの活動を支援させて頂きたく申し出をさせて頂きました。微力ではありますが、末永くサポートさせて頂きたい」と挨拶を述べました。

次に、大阪広域神戸事務所 上田所長から神戸アイライト協会 森理事長に目録が贈呈され、その後森理事長よりお話がありました。

「阪神大震災発生から避難・復興において、視覚障害者が置かれた過酷な状況を目の当たりにし、視覚障害者をサポートする拠点となる施設の必要性を痛烈に感じ、立ち上げたのが神戸アイライト協会のはじまりです。

予算ゼロの状態から出発しボランティアに支えられながらの運営で紆余曲折ありましたが、4年前に、1999年の発足当時から神戸市に訴え続けていた訪問活動の必要性が認められ、やっと予算がつきましたが、現在も協会の運営は厳しい状態です。今回の寄付はとても有り難く、こちらこそ末永くよろしくお願い致します。」と、お言葉を頂きました。

最後に参加者の皆さんと記念撮影、そして手作りの感謝状を頂きました。

和やかな雰囲気の中贈呈式が終了しました。

贈呈式の後は協会内の施設を見学させて頂きました。

現在は、医療の進歩もあり全盲の方は少なく、少し視力が残っている方が多いそうです。
視力が少しでも残っている方は、点字以外の方法で文字を認識する方法が主流だそう。

文字を拡大して読み書きする為の器具は視力の程度に合わせてたくさんの種類がありました。また、以前は視力が落ちてPCを捨ててしまう方も多かったそうですが、現在はPCで文字を音読させて聞く、音声で文字を入力したり操作するという方法もあり、講習会や個別指導も大人気です。

スマホやタブレットの操作に特化したアプリもあり、様々な道具や機器、アプリが視覚障害者の視野を広げる役を担っているんだと実感しました。

大阪広域でも一部導入している名刺の点字加工の実際の作業も見せていただきました。点字のピースを一つ一つ小さな機械に手作業でセットし1枚ずつ丁寧に型押ししていきます。

丁寧に作られた名刺を色んな方にお渡しする事で、少しでも啓発活動のお手伝いになれば・・・と改めて思いました。

視覚障害、ロービジョンの方はその9割以上が元々見えていたといいます。

医療の進歩で、生まれつきの目の病気に対する有効治療法が増え、盲学校へ通う生徒数は減少傾向にあります。逆に長寿社会が拡大していくことで、中高年、特に50代以上で視覚に何らかのハンデを負う方が増えているといいます。

視覚の障害者認定制度において、片目失明というだけでは視覚障害者認定はされません。
距離感や奥行きを把握する「両眼視機能」は、両目が正常に機能して初めて得られるものですが、視覚障害の判断基準は良い方の目の視力と視野の状況で判断されます。

距離感や奥行きを感覚としてつかめない上に、本来両目で見るべきものを片目だけで補う事で生じる身体的負担、今までのほとんどを視力に頼っていた生活から一変した状況に対する精神的不安や苦労は周りには分かりにくく、心を閉ざし、また病んでしまい、最悪命を絶ってしまう方も・・・

神戸市では毎年数百人が視覚障害者の認定を受けますが、そのうちの数十人しか神戸アイライト協会を訪れる人がいないそうです。
他の施設に行かれた方もいるとは思いますが、多くの方が手帳をもらっただけで、便利な道具があることや、生活を支援してくれるアイライト協会という存在を知らないまま不自由な生活をされ、やむを得ず離職したものの、障害年金が給付されることも知らないまま経済的に困窮してしまう方も少なくありません。

そんな「辛い想いをしている人を少しでも救いたい!」という思いで始めた相談事業の利用は、年間2600件以上だと言います。

そして、4年前から神戸市からの業務委託という形で、歩行訓練士の常勤・専任での訪問指導が可能になりました。
大阪や京都では1970年台から歩行訓練士による訪問指導が導入されていましたが、神戸にその様な制度はなく、神戸での専任の歩行訓練士による訪問指導の確立は、神戸アイライト協会を立ち上げた目的のひとつでもあり、長年神戸市に訴えていた要望がやっと実現しました。

視覚にハンデを持った人の白杖(はくじょう)を使った歩行は「命がけ」です。
しかし、自宅や職場、近所のコンビニに一人で行くことが出来れば、どんなに世界が広がることでしょう・・・介助者との歩行や交通機関の利用法などを指導、訓練することで視覚障害者の移動の安全を守る事が出来る、素晴らしい事業です。

視覚障害者の歩行について、世間では「盲導犬」が有名です。
しかし、盲導犬との歩行には『白杖での歩行が出来る』前提があってこそ可能だという事をご存知でしょうか?
歩行に際して、盲導犬は道中の危険を察知したり、電車の改札や入り口を探す目の役目をしてくれますが、指示を出し目的地まで誘導するのはあくまでも視覚障害者自身です。
自分に歩行スキルがないと、たとえ盲導犬がいてもその能力を発揮させてあげることが出来ず、目的地にたどり着くこともできないのです。

社会貢献活動として「盲導犬」にはたくさんの支援や寄付が集まります、それはとても素晴らしいことなのですが・・・
どうか、視力をなくして絶望の淵に立ち、自分の殻に閉じこもって苦しい想いをしている人に「盲導犬と一緒に歩きたい」と思ってもらえる様な心のケアができる相談事業や、自分の世界を取り戻す為の歩行訓練という地道で労力もお金も必要なこれらの活動にも目を向けて欲しいと切に願われていました。

© The ready- mixed concrete cooperative of Greater Osaka.
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